モルジェロン病・第二章

私が経験したモルジェロン病と思しき患者さんたちは男性もいれば女性もいました。

そしてどの方も“糸”あるいは“糸状のもの”が口の中から出てくると訴えました。
酷い方だと口の中から糸が止めどなく出てきて息が出来なくなってしまい、パニックに陥ってしまったと怯えたように繰り返し訴える患者さんにも出会いました。

そして最も興味深かったのは、それぞれ決まった部位を必ずブレることなく指し示すことでした。
個々の患者さんによって上顎、下顎、歯の根元など糸が出てくる場所が異なるものの、決まって同じ場所であることから“気のせい”とか“何かの勘違い”と笑って済ますことも出来ず訴えを素直に認めるしかありませんでした。

いつも同じ場所を指すものの、私が何度確認しても“糸”を見つけることができず、
「ここです!」
「ここです!」
と指差されても私自身も見えないものは、見えないので「無いみたいですよ!」と返すしかありませんでした。

こんなことを繰り返すうち「糸が出てきたら何時でもいいからすぐ来て下さい!」とお願いしたところ「先生!糸が出てきました!」と慌てて来院されたことがありました。

“どれどれ”と口の中を覗いて見てもやはり見つけることが出来ず「出てないみたいですね!」と返答すると「さっきまで出てたんですけど!」と戸惑った態度を見ることになり、真剣さを再認識させられたこともありました。

そんなこんなを繰り返し私自身もどう対応したら良いのかわからず、妻が医師なので「こんなことを訴える患者さんがいるけどどう思う?」とか「こんなことを言う人を診たことがある?」と向けてみました。

案の定「知らない!」とか「糸を吐くクモ人間だね~」などと呑気な返事を返してくれました。
いずれにせよ患者さんたちは真剣に悩み、自分はとんでもない病気になってしまったと心配していることが訴えからも伝わり、なんとか少しでも解決、軽快させてあげなければならないと感じさせられました。

まず考えなければならないことは、なぜそのような訴えがあり、なぜブレずに同じ場所なのかです。
よく話を聞いてみても原因を掴むことができず、とにかく原因と思われる部位に対する処置と患者さんが希望する処置を可能なかぎりおこなってみました。実際の治療内容はまたもや次回に持ち越しです。

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