怪しい冊子

先日のことです。
私(土井歯科クリニック)宛てに90ページほどの冊子(宣伝雑誌?)が届きました。

どうやら活性酸素が人間のカラダの中で悪さをすることでさまざまな疾病を引き起こしている。そして、この悪者である活性酸素を除去する酵素を多く含む食品を試してみませんか?と、こんな内容と理解しました。

アトピー、シミ、更年期障害、健康増進と言った効能であればそれ程気に留めることもなかったのですが、一部“これは絶対納得できない!”記述が目に留まったので少し綴ってみたいと思いました。

“がん”に対して大きな効果ありと謳っているくだりです。
まず、①「がん患者の直接死因は抗がん剤の副作用である」とほぼ断言し、抗がん剤は副作用で苦しむだけで使うべきでは無いとしている点です。

私が大学病院で臨床していた頃と比較すると抗がん剤の種類や作用機序は桁外れに進歩し、さまざまな組み合わせにより大きな治療効果が統計学的にも証明されエビデンス(証拠)のある治療として全世界で行われ、毎年のように新たな抗がん剤も世に送り出されています。
さらには遺伝子を調べることで、より効果的な抗がん剤を選択できたり副作用の少ない治療が可能になりつつあります。

また、“がん”に対する新たな知見も次々解明され、がん治療中の患者さんは諦めず可能なかぎり手を尽くすことが必要とも提唱されています。

もっと許されない記述として②「悪性リンパ腫は世界で1年以内にみんな死んでいる」とあることです。
当院にも悪性リンパ腫の患者さんが歯の治療のために来院していますが、もうかれこれ5年以上抗がん剤の治療によって良好なQOLを保ち続けています。

どうやらこの冊子に書いてある食品を摂取して免疫機能を向上させれば“がん”ですら制御でき、すべての疾病に効能のある万能食品だと謳っているように感じられました。
病気のすべてが活性酸素により引き起こされているとは思えないし、免疫によりすべて解決できるわけでは無いことは明白です。

私が大学病院に勤務していた頃、がん治療は外科手術、放射線治療、化学療法が柱であり第4の治療法として免疫療法が提唱されいくつかの免疫賦活剤が使用されました。

それから約30年、免疫療法は民間療法といっても良いランクにまで下がってしまっているように感じています。
もし、私ががんに罹患してしまっても免疫力を上げることだけに集中することはあり得ないでしょう。
最後に①、②の部分は冊子の記述をそのまま引用しています。

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