無届け投与

気になる新聞記事を見つけました。

国への届け出をせず、アンチエイジングなどを目的に他人のさい帯血幹細胞を投与する治療を行ったとして、埼玉県内の医療機関に対し再生医療安全性確保法に基づき治療の一時停止を命じた。
と書かれた新聞記事でした。

土井歯科クリニックでは自己多血小板血漿(PRP)を使って歯科における骨・軟組織治癒促進治療を行う目的で厚生局(国への届け出)へ再生医療等提供計画や特定細胞加工物製造届書を提出し、しっかり法律を遵守しています。

今年の2月には再生医療等提供状況定期報告書も無事提出し、ホッとひと安心していた矢先の記事でした。
考えてみると、再生医療等の提供には膨大な書類が必要であり、たくさんの資料や文献を収集し、その作成には多大な時間を要しました。

法律施行以前のことを考えると「なんで、こんなに面倒なことをさせられるのだろう」と、途中で投げ出したくなるような思いをたくさんしていました。

今回の記事に出ていた医療機関は、他人のさい帯血を美容などの目的で投与していたため、再生医療安全性確保法では「第1種」の分類となり最もハードルが高く、設備の面でも最高水準が求められます。
土井歯科クリニックでのPRPを用いた治療は自分の細胞を加工するものなので「第3種」に分類され安全性の高いものです。

それでも、届け出には文献、作製方法、安全性の確保、治療の説明、承諾書等々と様々な書類の提出が必要でしたが、この医療機関はさい帯血の投与を患者さんにどう説明していたのでしょか?また、細胞を加工する際の安全性確保はどのようにしていたのでしょうか?実際に苦労して届け出を提出した私としては本当に心配なことです。

また、新聞記事にはこんなことも書かれていました。
厚生労働省には以前から、無届けでしかも各地で行われているとの情報が寄せられていた。
実際に確認されたのは今回が初めてであると。

う~ん、確かに再生医療安全性確保法をクリアして治療に用いるためには、まず届け出が大変、それから毎年定期報告書を作成しなければならない、さらに再生医療等委員会に審査を依頼し、審査を受けるための審査料金がかかるなど、とてもやってられないといった側面もあります。

このようなことを知ってしまうと、「バレなければいいか!」といった“悪魔のささやき”に魅入られたのでしょうか?

いや~、医療人としてはやってはいけないことだと思いますが・・・
それよりも、不幸にして患者さんに副反応や障害が発生したらどうするのでしょう?

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