続・水銀に関する水俣条約

さて、今回も引き続き水銀に関するブログです。

前回、国際機関の取り組みについて触れましたが、続編では各地域についての現状です。
米国では、年間61トン(2008年)の水銀が排出されています。
米国環境保護庁(EPA)は2014年に、歯科用アマルガムの環境への排出を削減するためクリーンウォーター法の基準を提案。

家庭排水の処理施設である公共排水処理(POTW)に流入する水銀の約半分は歯科医院から排出されるとして、セパレーターと回収した水銀のリサイクルを義務付け、これにより年間5.1トン削減できるとしています。

EUでは全体で年間145トン(2005年)の水銀が排出されています。
EU科学委員会は歯科用アマルガムがEUにおける2番目に大きな水銀の使用であるとして、水銀とその化合物の排出において環境品質基準を制定しています。

EU全体としての歯科用アマルガムの使用に対する規制はないものの、スウェーデン、オランダ、デンマークでは水銀を含む歯科用アマルガムの輸入・製造・販売・使用が禁止され、多くのEU参加国では歯科医院にセパレーターの設置を義務付けています。

最後に日本です。
世界全体の水銀需要が3798トン(2005年)で歯科用アマルガムが10%を占めるのに対し、日本の水銀使用量は9.0トン(2015年)で歯科用アマルガムは0.2%と非常に少なくなっています。

日本国内の歯科用アマルガムによる水銀使用量は、1970年には約5.2トン、1999年は約0.7トン、2006年には約0.1トン、2010年には約0.02トンまで削減されてきました。

平成28年4月(2016年)からは保険診療での使用不可となり歯科用における需要は、ほぼ0だと思われます。
環境省の水銀大気排出インベントリ(2010年度ベース、2013年度更新)によると、日本国内における水銀の大気排出量は年間17~21トンと推計され、歯科用アマルガム製造による排出は0.4キログラム(0.0004トン)と非常に僅かと推定されています。

また、火葬に伴う歯科用アマルガムの蒸発による排出は年間0.07トンとも推定されています。
そして、歯科医院から排出される水銀については明確なデータが無く、大半が金属業者によって回収されていると考えられています。

日本においては、コンポジットレジンやグラスアイオノマーセメントなどの代替材料開発がなされ、保険制度の充実もあり臨床応用の発展によりアマルガムの減少に繋がったと考えられています。
逆の見方をすれば、開発途上国では、材料、設備、費用などからまだまだ水銀が使われ続けるのでしょう。

せっかく、129ヵ国が締結しているのですから、今後も削減に努力を惜しまず、未締結の国にも積極的に働きかけるとともに、サポート体制の確立も重要と考えます。
水俣病が「Minamata disease」として世界的にも認知されているとは知りませんでしたが、イタイイタイ病はどうなんだろう?

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