以前、HIV感染症患者の歯科治療ガイドブックについて綴りました。
茨城県エイズ治療拠点病院等連絡会議が年1回開催されて、この会議報告が茨城県歯科医師会報に掲載されていたので部分引用してみたいと思います。
茨城県内には、筑波大学付属病院を中心に合計10か所のエイズ治療拠点病院があり、HIV感染者、およびエイズ発症者の治療が行なわれています。
報告によると、統計を取り始めた昭和62年から平成26年までの茨城県内のHIV感染者・エイズ患者の新規報告数は、延べ830名で、平成3年から平成9年までは毎年40件以上あり、その後減少傾向にはあるものの、近年でも毎年20件前後で他県と比較しても報告数は多い傾向にあるようです。
また、新規患者の約38%が、既にエイズを発症している、いわゆる「いきなりエイズ」だそうです。
これらのデータは、保健予防課が県内の保健所や医療機関からの報告を受けてまとめた、いわば「おもての数」であり、本人が気づかずに感染している「実数」はおそらくこの数倍に上るのではないか、というのが連絡会議での意見となっているようなので「やっぱり!」と思いながらもビックリです。
この報告からわかるように当院においても感染者と接している可能性があり、感染力が低いとはいえ、日頃の感染対策が重要なことが再認識されます。
さらにもっと考えさせられることとして、エイズに対する偏見等が依然としてあることから感染そのものを伏せていることや、頻繁な休暇が取り難いことで治療が十分なされないこともあります。
例えば、HIV感染者の歯科診療実態調査によれば、HIV感染が判明してから歯科治療を受けたことがあると回答した616名の回答をみると、「感染を明らかにしてHIVの治療を受けている施設内の歯科で治療した」が43.4%、「感染を明らかにして病院から紹介された歯科で治療した」が14.7%、これに対して「感染を明らかにしないで自分が通いやすい歯科で治療した」が29.0%となっているそうです。
この数字は大変憂慮すべきで改めて考えさせられてしまいます。
やはり問診は大変重要であり、治療歴や、検査データ、内服薬をきちんと把握できればある程度、HIV感染に限らず大抵のことは掴めると思います。
ただし、此れすら正直に回答してくれないと、もはや「お手上げ」です。

