すごいもんだ!

先日のことでした。
約10年振りに当院を受診した患者さんのお話です。

今回の受診は歯が欠けたので治したいということと、歯周病が気になるので診て欲しいとの理由でした。
この患者さんは、19年前当院が開業して間もない頃に初めて受診しましたが、その時は自転車に乗って転倒したため血だらけの状態で来院していました。

カルテを見返すと顔は腫れ上がり口の中から血が流れ、歯は欠けてグラグラ、支える骨も飛び出し、神経も障害したのか周囲がピリピリしびれていると訴え、それはそれは酷い状況であった様子が記載されていました。

下の前歯4本と上の前歯1本が脱臼し骨の中から飛び出し、その中の2本は完全脱臼して折れた骨と歯茎に繋がっているだけでプラプラとしている状態でもありました。

開業間もなく、口腔外科で培った技術も今のように錆びついていない頃でもあり「やるだけやってみるけど、もしかしたら植え直しても生着しないかもしれません!」なんてムンテラ(説明)してから治療したにちがいありません。

まず、傷の状態を把握するためデブリードマン(傷の洗浄と掻把)をおこない下の前歯4本に対しては、患者さん本人に確認しながら歯の位置を修正し再移植するとともに、周囲の骨を整復して口腔内を縫合処置して、移植した歯が動かないようしっかり固定する処置をした記録があり、そして上の前歯もまた同様の処置がおこなわれました。
後日時間をかけて、歯の神経の処置や折れた歯の修復がおこなわれ最終的な治療が終了し経過観察となりました。

その後は、数年に1度来院し「あの時はお世話になりました。すっかり治って調子いいです!」と感謝の言葉をもらった記憶があります。
そして、最後に受診してから10年後の今回、冒頭のお話につながるのです。

あの時の私の治療が現在どうなっているのか興味津々でもあり、レントゲン写真を撮影し全顎的に精査させてもらいましたが、あの19年前の治療は一部に骨の吸収を認めるもののしっかりとしていて、実際に歯を揺らしてもびくともしないことに“すごいもんだ!”と感心してしまいました。

私の治療がよかったのか、患者さんの回復力(治癒力)が素晴らしかったのか、はたまたその両方が相乗効果をあげたのかわかりませんが、いまだに良い状態を保ち続けてくれています。
そもそも、再移植は数年持てば良い結果であると認識していたので綴らせていただきました。

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