茨城県警察歯科協議会 講演会

さて、今回は警察歯科医として歯科医師会主催の講演会に行ってまいりました。今回は各警察署の署員のみならず茨城県警察本部、茨城海上保安部の幹部の方の出席もありなかなかの顔ぶれでした。

身元不明死体の個人識別に対する歯科医師の役割、法律的な後押しに関した演題でした。
内容をかなり圧縮すると、昭和60年に発生した日航機墜落事故での歯科医師たちによる個人識別作業で多くの犠牲者の身元が判明したことに遡ります。

この事例で歯の治療痕が個人特定に多大な貢献をすることが国内的にも認識されました。
にもかかわらず、歯科医師が関わることが可能な法律の条文がまったく無く、この状態を変えようと長い間尽力されてきたものの結局変更されてきませんでした。

この状態が180度変わりました!
2011年の東日本大震災でした。やはり迅速に多数の遺体の個人識別が歯科医の協力でなされました。
ようやく政府も重い腰を上げ、あっという間に歯科医師が関わることのできる画期的と言われる法律ができあがりました。

そもそも改正前の法律は、私が生まれるずっと前の明治や昭和初期にできた法律で、歯科医師が関わるなんて想定されていないどう考えても不合理な代物でした。
余談になりますが、私が大学病院勤務時代に担当患者さんに死亡宣告や死亡診断書を書いた経験がありますが、これもたくさんの偉大なる先輩歯科医師が働きかけて法律を改正してくれたからできたことでもあるんです。

このように使命感を持って貢献することで道が開けていくものだなと先人たちの努力に感服です。
ところで、DNA鑑定すれば個人の特定は簡単では?と思いません?
これは、数年前に発生した韓国の射撃場の火災事件の例があります。

韓国側はDNA鑑定すればすぐに個人を特定できるとたかをくくっていたら、そうならなかったという事例に遡ります。
理論上は数十億分の1で特定できそうなものですが、実際にはそうでもなかったのです。
簡単に説明するとA検査で3分類されB検査でも3分類できるとしたら9種の組み合わせができます。
ところが3分類に頻度の差があったらまったく話が変わってしまいます。

A、Bそれぞれの検査の3分類が70%20%10%と出現率に違いがあったら、ある組み合わせが50%近い確率になり、一方で1%の確率もありなんてことで個人の特定に至らない場合があるからです。

A検査 a70% b20% c10%
B検査 x70% y20% z10%
ax確率49% cz確率1%

というわけでDNA鑑定は万能ではなかったのでした。
当然全力を挙げて鑑定すれば特定可能なのでしょうが時間とお金がかかります。その点歯科の治療痕はカルテと現場の所見を照合すればあっさりとしかも高確率で個人の特定ができてしまうのです。

しかも歯科の治療は肉眼所見だけでなくレントゲンの所見を加えればほぼ無限の数の治療痕に変化してしまうので個人識別に大変威力を発揮することがおわかりいただけると思います。
今回ももうこんなに綴ってしまったのでここまでにしておきます。
またこの続きができる機会があればと思います。

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