糸魚川市で発生した大規模火災では、多くの家屋が焼失し師走のこの時期新たな年を迎えるにあたり心細く不安な日々と察します。
一日も早く復旧し、普通の日常が取り戻されることを祈るばかりです。
今回の火事では死者や行方不明者が無く幸いでしたが、時に、多くの死傷者が出てしまう災害や事件が発生してしまいます。
そんな時、我々歯科医は個人識別をすべく現場に出動することがありますが、歯の治療痕は人間の指紋の如く迅速にそして的確に身元を特定できるものとなり得るからです。
私は、警察歯科医の任に就いているため、身元不明死体や大規模災害発生時の個人識別では先頭に立つ必要があることから、ぶっつけ本番で現場に出動し、「さあ、どうすればいいのやら?」というわけにもいかず、警察署の鑑識課職員のみなさんと共に個人識別実習に参加してまいりました。
以前のブログでも綴ったことがあるように、歯科医師でも個人識別ができるよう法律が改正されたことはご存知の方もいらっしゃるかと思います。
実際、茨城県でも身元不明死体における歯の治療痕から身元が判明した事例があります。
ただし、まだ治療痕採取のチャートが徹底されず、少し混乱した部分があるため今回の参加者は正しい採取方法の周知と徹底を図ることが目的にもなっていました。
死体役となった警察関係者の皆さんに感謝するとともに、日本人の死者に対する意識の高さが伺え、どんな時でも、合掌から始まるのは日本人にしかできない芸当ではないでしょうか。(今回、合掌はしましたが、生きています!)
口腔内写真撮影、レントゲン撮影、治療痕の採取、チャートの作成などなど、「なるほど!」と納得し、これだけ緻密にやらないと正確な識別ができないし、個人識別もかえって混乱しては何のための作業かわからなくなってしまいます!
それ以外にも、感染症、汚染の問題など、現場作業が清潔な環境で必ずできるわけではないのですから配慮することも多くなかなかに大変です。
汗をかきかき何とか実習を終了し、修了証を頂くことができました。
この個人識別実習に参加したことで多くの事を学ぶことができましたが、そもそも、この識別器具は桜川市に1つしか無いのです。
そして、大きく、重いジュラルミン製のたった1つのケースは私の手元にあるのですからみなさんビックリでしょう?
桜川警察署の留置係の刑事さんとは、留置人の治療でしばしばお会いするのですが、桜川署の鑑識課の刑事さんからは今回も実習で「何かあったらすぐ連絡するのでよろしく。」としっかりお願いされてしまいました。
内心、こういった依頼はなるべく避けたいものと感じているのは私だけでは無いはずです。
追伸
今回で2016年のブログは最後になります!
来年も身近な事件、歯科に関連した事柄、私的なことをさまざま綴っていけたらと思っています。
それでは、皆様、来年も良い年でありますようお祈り申し上げます。

