笑顔!

先日のことです、“下くちびる”に何かできものができて、気になるので診てほしいと男性が来院しました。

よく話を聞いてみると2週間前に“くちびる”にコロコロしたものがあるのに気付き、それより前は全くそのようなことはなかったと話してくれました。よく診てみると確かにコロコロとしていて可動性で粉瘤にほぼ間違いないなといった所見でした。

「麻酔の注射をして取ってしまうのが1番よいでしょう」と私。

すると「今、発電所で働いているのですが、“くちびる”に急に何かできて心配になり産業医に相談したところ、口腔外科で診てもらいなさいと言われたので訪ねてみました」との答えが返ってきました。

そうなんです!あの原発で一生懸命働いている男性なのです。

やはり放射線が気になるらしく、居ても経ってもいられず受診したようです。こんな形で懸命に作業してくれている人に会うなんてと感じつつ、私なりに労をねぎらい、そしていつもより、更に時間をかけて、わかりやすく説明してしまいました。

心配無いと安心してもらいましたが、結局、時間が無いということで、摘出の手術は見送りになったものの、最後は笑顔で帰ってくれました。帰って行った先はやはり“あの場所”なのでしょう。安全に、健康でそして早く作業が終了することを祈るばかりです。

さらに数日後のことです。今度は初老の男性が医院を訪れました。

「先生、口の中が荒れてしまって何かできているみたいなのですが、また何か悪いものができたんじゃないかと思い来てみました。」

数か月前、悪性腫瘍の疑いで大学病院へ紹介した男性でした。
つい数日前、放射線治療が終了し、自宅療養のため帰宅していたのです。

どれどれと口の中を覗いてみると「あ~、これは痛いでしょう?まだご飯を食べてもまともに食べられないし、そもそも味が無くて全然おいしくないでしょう!」と私。

「そうなんですよ!なんでもかんでもミキサーにかけて飲み込んでるよ」と答えが返ってきました。

「これはね、放射線治療の影響がまだ残って口の中が荒れてしまっているのが原因です。」と私。

どうやら放射線治療による影響についてあまり詳しく説明してもらっていなかったようでした。
そして放射線治療後の口腔内の変化や経過を詳しく説明するとみるみる笑顔になりそして元気に帰宅していきました。

さらにほんの数日前のことです。

今度は食道の手術をした高齢の男性です。
「すごいねー、そもそも食道の手術をして元気になる人が少ないのに、その歳で食道の手術してこんなに元気になるなんて本当にがんばったんだね~」と私。笑顔になり「でもなー、体重が20kgも落ちちゃったよ」

私が「じゃー、いっぱいおいしいもの食べないと」と言うと「そうなんだけど入れ歯が合わなくてごはんが食えないんだよ」との返事。

「どれどれ、」と義歯を調整。

持参していた内服薬の説明書に目をやり「あれ、流動食も使ってるの?これ、エンシュア・リキッドですよね?あんまりおいしくないでしょう?」と私。

「いや、これおいしいんだよ!ジュースみたいな感じで飲んでる」そして私が「最近は改良されたし、いろいろフレーバーもあっておいしくなったんですね?」とまあこんな会話を繰り返しました。

やっぱりとっても“ニコニコの笑顔”で帰宅されました。“ちょっとしたきっかけ”とそして“詳しい知識”が心配でたまらない状態で来院した人たちを笑顔で帰宅させることができることを実感したこの頃でした。

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